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泥臭い努力を『ブランド』に変える。僕が実践した、農産品を『選ばれる商品』にする3つのステップ

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「いい商品を作っているのに、なかなか売れない。」

農産品を自分で売っていく多くの方が、一度はぶつかる壁だと思います。

僕達もそうでした。(僕は常呂町の緑夢ファームと斜里町のかれんファームのメンバーとしても活動しています)
北海道でサツマイモとビーツという、当時ほとんど販路がなかった作物に挑戦し、ゼロから市場を作っていく中で、たくさんの失敗と発見がありました。

この記事では、その実体験から学んだ「農産品を選ばれる商品にする3つのステップ」をお伝えします。難しい話ではありません。でも知っているかどうかで、結果は大きく変わるヒントにはなると思います。


販路がほとんどない場所から始まった

北海道でサツマイモを生産に関わりを決めた時、販路は多くありませんでした。

本州では当たり前のように売られているサツマイモも、オホーツクでは生産者がほぼいない。だからこそ買い付けルートも、卸先も、相場感も、知恵が全然ないところからのスタートでした。

農協に出荷するという選択肢がない分、自分達で価値を作るしかなかった。値段も、売り先も、届け方も、全部自分で決める必要がありました。

それは不安でもありましたが、同時に「自由」でもありました。誰かが決めた相場に縛られず、自分が「これだけの価値がある」と信じる価格で勝負できてお客様の「おいしい!」を直接聞ける喜び。そのためにブランドを作ることが、スタートではなく「唯一の道」だったのです。

ビーツも同じでした。日本ではまだ「珍しい野菜」として認知されていない中で、販路を一から開拓するには、商品そのものに「選ばれる理由」を作るしかありませんでした。


 ステップ1:ターゲットを絞る。「全員に売ろうとしない勇気」

最初、ビーツをどう売ればいいか正直わかりませんでした。

「珍しい野菜です」「栄養が豊富です」そんな言葉で発信していた時期があります。でも反応は鈍かった。珍しいだけでは、人は財布を開きません。

転機は「誰に届けたいのか」を真剣に考えた時でした。

ビーツを買ってくれる人はどんな人か。健康に気を使っている人。美しくありたいと願っている人。大切な人が健康で美しくいてほしいと考えて特別なものを贈りたい人。そう考えた瞬間、言葉が変わりました。「珍しい野菜」から「美と健康を願う人へのギフト」へ。同じ商品なのに、届く人が変わり始めました。

ターゲットが絞られると言葉が変わる。言葉が変わると、刺さる人が変わる。これはビーツで学んだ、僕の中での大きな転換点でした。

 「オホーツクシルク」という名前をつけた日

サツマイモでも同じことが起きました。

北海道オホーツクで育てたサツマイモを売ろうとした時、「北海道産サツマイモ」という言葉だけでは何も伝わらないと感じました。この芋には、オホーツク海から運ばれてくる潮風のミネラルが塩味を与えてくれる。寒暖差が糖度を高めてくれる。皮まで食べられるほど薄くなめらかな食感がある。これだけの個性があるのに、「北海道産サツマイモ」という言葉では埋もれてしまう。

だから名前をつけることにしました。

「オホーツクシルク」

オホーツクという土地の力と、シルクのようになめらかな食感。この名前をつけた瞬間、同じ芋が別の商品になりました。さらに商標登録をしてストーリーをきっちり打ち出し「この名前はここにしかない」という唯一性が生まれました。誰かに真似されない、この土地とこの生産者にしか作れないブランドの誕生です。

全員に売ろうとしなくていい。「この価値をわかってくれる一人」に届ける言葉を磨くこと。それがブランドの第一歩です。


 ステップ2:ストーリーを「可視化」するデザイン

ブランド名が決まっても、それだけでは売れません。

次の壁は「見た目」でした。どんなに良い名前をつけても、手に取ってもらえなければ意味がない。お客様が商品と出会う最初の瞬間、それはパッケージであり、写真であり、言葉の認知です。

最初の頃、写真は綺麗に見えるよう努力し続けて。明るい場所で撮って、それなりに綺麗に見える。でも何かが足りなかった。足りなかったのはストーリーでした。

畑の写真一枚が、全てを変えた

転機になったのは、現地で撮影した一枚の写真です。

オホーツクの広大な畑、収穫の瞬間、土がついたままのサツマイモ、それを手にする農家さんの表情。スタジオで撮った綺麗な商品写真ではなく、この土地でこの人たちが育てたという「現場の空気」が写っている写真。

その写真をパッケージや情報発信に使い始めた途端、反応が変わりました。同じ商品なのに、写真が変わっただけで「欲しい」という感情を引き出せるようになったのです。

これは私の妻・美奈の力が大きいです。彼女はカメラマンとして、単に綺麗な写真を撮るのではなく「その場所の空気感」「作り手の体温」を写し込むことにこだわっています。商品そのものではなく、その商品が生まれた背景を撮る。それがグチヤマラボのストーリーフォトの核心です。

 言葉もデザインも「誰かへの手紙」

 写真と同じくらい大切なのが言葉です。
パッケージに入れる言葉を考える時、僕達が意識したのは「説明しない」ことでした。成分や栄養素の羅列ではなく、この芋がどんな場所で、どんな人たちの手によって育てられたのかを、短い言葉で伝えること。

「オホーツク海の潮風が育てた、塩味が甘さを引き立てる。」

たったこれだけの言葉で、お客様の頭の中に北海道の大地と海が浮かぶ。説明ではなく、情景を届けることが「選ばれる言葉」の条件だと気づきました。

デザインも同じです。華やかにするのではなく、素材の良さが伝わるシンプルさを意識しました。余白を大切にすることで、かえって商品の存在感が際立つ。デザインは足し算ではなく、引き算だと学びました。

勘違いしてほしくないのは、これは「見栄えを良くする」という話ではないということです。本当に良いものを、本当に良いと伝えるための手段が写真であり言葉であり、デザインです。ストーリーを可視化するとは、作り手の誠実さをデザインに変換することだと、僕は考えています。


ステップ3:価格ではなく『価値』で勝負する勇気

正直に言います。怖かったです。

相場より高い値段をつけることが、これほど怖いものだとは思いませんでした。「高すぎる」と言われたらどうしよう。「売れなかったら」どうしよう。値段を見た瞬間に置いて帰られたら。そんな不安が頭をぐるぐると回っていました。

「安くすれば売れる」という誘惑

 最初に頭をよぎったのは「とにかく安くして、まず手に取ってもらおう」という考えでした。

でも立ち止まりました。安くして売れたとして、それは本当に「選ばれた」のか。価格に引き寄せられたお客様は、値段が上がった瞬間に離れていきます。それは「ファン」ではなく「通りすがり」です。

僕が目指していたのは、この商品の価値をわかってくれる人に届けることでした。値段ではなく、ストーリーで選んでもらうこと。そのためには、自分達がつけた価格に自分達が責任を持つしかありませんでした。

初めて「納得して買ってもらえた」瞬間

値段を下げずに勝負した最初のイベントで、一人のお客様がオホーツクシルクの焼き芋を手に取り、値段を見て、少し考えて、それでも買ってくれました。

レジで「美味しそうだから」ではなく「育てた人の顔と土地が見えるから」と言ってくれたその言葉が、今でも忘れられません。

価格ではなく、ストーリーで選んでもらえた瞬間でした。その喜びは、大量に安売りして完売した時の達成感とは全く違うものでした。「この人のために作ってよかった」という感覚、「一緒に進んでくれてる生産者が認められてよかった」それがブランドを続ける原動力になりました。

価値に見合う価格は、作り手へのリスペクトです。安売りは時に、その全てを安く見せてしまいます。自信がある美味しいものはわかってくれる人は必ずいます。全員に届けなくていい。価値をわかってくれる一人に、誠実に届け続けること。それが長く愛されるブランドの条件だと、僕は実体験から確信しています。

泥臭い努力を、泥臭いまま終わらせない。
その価値を『ブランド』という武器に変えて、守り抜こう。

 農業は泥臭い仕事です。早朝から体を動かし、天候に左右され、思うように結果が出ない日も年もある。それは変わりません。

でもその泥臭い努力が生んだ本物の価値を、ちゃんと届けるための武器を持ってほしい。写真でも、言葉でも、パッケージでも、ホームページでも。

難しく考えなくて大丈夫です。まずはあなたの作物への「愛情と自信」を、誰かに見える形にすることから始めてみてください。

コーヒーでも飲みながら、一緒に作戦会議しませんか。あなたの「泥臭い自信」を、ブランドに変えるお手伝いをさせてください。


 グチヤマラボについて

 グチヤマラボは北海道オホーツク・網走と札幌を拠点に、農家さんのブランディング・ホームページ制作・写真撮影を手がけています。代表の山口慎太郎自身もビーツ・サツマイモの生産に携わりながら、農家さんの現場をリアルに知り、体感しながら日々挑戦しています。

写真撮影費込みのホームページ制作プランあり。まずはお気軽にご相談ください。

 ✉ guchiyamalabo@gmail.com
🌐 https://guchiyamalabo.com
グチヤマラボ 山口慎太郎


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